厚生労働委員会で質問 生活保護法、生活困窮者自立支援法の一部改正案

本日は、厚生労働委員会で生活保護法、困窮者自立支援法の一部を改正する法案の補充質疑。

厚生労働委員会の理事会に、平成25年度労働時間等総合実態調査の精査結果と、野村不動産の過労死をめぐる復命と労災決定の平均日数のペーパーが提出されました。

労政審に提出された議論の出発点になる調査の2割が間違っていたというのは、審議の土台が崩れたことを意味します。労政審に差し戻して議論をし直すべきです。

生活保護法の審議では、ジェネリック医薬品を生活保護受給者にのみ原則使用に変更することは著しく不公平であり、選択の自由を奪い、人権侵害であることを指摘しました。

また、2013年の生活保護法改正案が可決成立する前に、
生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて
という通知を法案の国会提出時に出しており、その基本方針で
「イ 上記1(1)及び(2)並びに上記ア等を総合的に勘案し、生活保護
制度においては、処方医が一般名処方を行っている場合または銘柄名処
方であって後発医薬品への変更を不可としていない場合には、後発医薬
品を原則として使用することとする。」
とするのは、明らかに法令を超える通知ではないのかと質問をしました。

また生活保護のしおりについて、第63条の返還権の非免責債務化の問題について
厚生労働省の見解を聞きました。

麻生財務大臣に財務金融委員会で質問しました

5月11日に開かれた財務金融委員会で、麻生大臣に質問をしました。

この間の財務省の前事務次官のセクシュアルハラスメント報道後の、大臣の認識、発言について聞きました。

大臣の答弁は、記者会見などで述べられた認識と変わらず、セクシュアルハラスメントが重大な人権侵害であるという思いは感じられないものでした。

女性の活躍推進と言いながら、副総理である麻生大臣が無自覚な発言を続けている限り、セクシュアルハラスメント防止も、真の女性の活躍も無理であると言いましたが、大臣に自分の事の重大さが伝わっているのかは、甚だ疑問です。

衆議院本会議で初登壇

5月11日に開かれた衆議院本会議で初登壇しました。

内閣から提出された「消費者契約法の一部を改正する法律案」について立憲民主党を代表しての質問です。

消費者契約法は、

「消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」法律です。

今回の改正が、事業者と圧倒的な情報の差がある消費者を悪徳事業者からより守ることができるようになるのかという視点で質問をしました。特に、今国会で提出されている民法改正案が仮に通れば、18歳、19歳は成年となり、未成年取消権がなくなります。この対策についても重要なところです。

今後、消費者に関する特別委員会で議論し、本当に消費者の利益の擁護となるよう修正を求めていきたいと思います。

働き方改革法案、厚生労働委員会で質問に立ちました

5月9日、厚生労働委員会で働き方改革法案について、質問をしました。

質問は野村不動産の過労死についてと、長時間労働規制について。

5月8日の夜に野村不動産の過労死について、かなり前から加藤大臣は知っていたのではないかという記事が出ました。

過労死認定、昨秋に方針 厚労相へ報告前 野村不動産特別指導
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13484758.html?_requesturl=articles%2FDA3S13484758.html&rm=150

「加藤氏は今年2月の国会答弁で、働き方改革関連法案に盛り込む予定だった裁量労働制の乱用の取り締まり例にこの特別指導を挙げた。その後、指導のきっかけが過労死と発覚。野党は都合の悪い事実を隠して答弁していたなら政治的責任は免れないと追及しており、経緯の説明を改めて迫られそうだ。」

この記事と新しく厚生労働委員会に提出された3月5日参議院予算委員会の安倍総理の答弁書などの資料を元に、質問をしました。

野村不動産の裁量労働制の違法適用は、2005年4月からずっと続いてきました。

その違法適用がわかったのは、過労死の発生により労働基準監督署が調査に入ったためです。

一度、企画業務型裁量労働制の届け出をすれば、外部からのチェックが入らず濫用され、13年間続いていたという実例なのです。

何よりその事実を国会に伝えないまま、働き方改革法案には企画業務型裁量労働制の拡大が入っていました。(現在は、労働時間比較のデータねつ造により法案から削除されています)

そして、裁量労働制の拡大は、長時間労働や過労死の懸念があるという質問に、指導実績として野村不動産の特別指導を紹介していたのです。

過労死の事実が判明した今、すべきことは裁量労働制の違法適用を許さないためのチェック機能の強化と、裁量労働制よりも働かせ放題になるスーパー裁量労働制とも言える高度プロフェッショナル制度の撤回しかありません。

今後も、委員会でしっかり議論し、高度プロフェッショナル制度の撤回に向けて頑張ります。

高度プロフェッショナル制度に関する質問主意書と答弁書

高度プロフェッショナル制度に関する質問主意書(2018年4月20日提出)と答弁書(2018年4月27日受領)を掲載します。(事務所投稿)

平成三十年四月二十日提出
質問第二四二号
高度プロフェッショナル制度に関する質問主意書

提出者  尾辻かな子

高度プロフェッショナル制度に関する質問主意書
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(平成三十年四月六日提出)第一条(労働基準法の一部改正)により新設される労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号。以下「労基法」という。)第四十一条の二に関して、以下の通り質問する。なお、本条の創設により新設される新たな制度を、「高度プロフェッショナル制度」と呼ぶ。

一 対象業務について
1 新設される労基法第四十一条の二第一項第一号において、「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務」とあるが、具体的には、どのような業務が定められるのか。
2 新法の施行に伴い前項の厚生労働省令を定める場合や、将来的に変更する場合には、その都度、労働政策審議会に諮問を行うのか否か。
二 対象労働者の「同意」について
1 新設される労基法第四十一条の二第一項第二号「イ」において、「使用者との間の書面その他の厚生労働省令で定める方法による合意に基づき職務が明確に定められていること」とあるが、「その他の厚生労働省令で定める方法」とは具体的にどのような方法か。
2 前項の合意について、対象労働者は事後に、任意に撤回しうるのか。
3 労基法第四十一条の二第一項第八号においては、「使用者は、この項の規定による同意をしなかった対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと」とあるが、仮に、同意をしなかった(または、同意を撤回した)対象労働者が、解雇その他不利益な取扱いを受けたとして、労働基準監督署その他行政官庁に申告を行った場合、行政官庁はどのような措置を取ることになるのか。
4 前項の対象労働者が、解雇その他不利益な取扱いを受けた場合、当該不利益取扱いは実体法上無効となるのか。例えば、同意をしなかった対象労働者が、そのことを理由に解雇された場合、当該解雇は無効になるか。賃金減額や配置転換についてはどうか。
5 同意をしなかった対象労働者が、解雇その他不利益な取扱いを受けたとして司法上の救済を求める場合(たとえば、解雇された対象労働者が、解雇は無効であるとして労働契約上の権利を有する地位の確認を求める場合)、司法手続においては、労働者側が「同意を拒否したことを理由とした解雇である」と主張し、使用者側が「別の理由(例えば成績不良)による解雇である」と主張する事態が想定される。このような場合、解雇の有効性について、当該労働者と使用者のいずれが民事訴訟上の立証責任を負うことになるのか。
三 対象労働者の「所定労働時間」について
1 現行法上、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない等と定められており(労働基準法第十五条)、「労働条件」の具体的な内容としては労働基準法施行規則第五条で定められているが、かかる規則は高度プロフェッショナル制度が適用される対象労働者についても及ぶのか。
2 使用者が、高度プロフェッショナル制度の対象労働者の「所定始業時刻、所定終業時刻及び休憩時間」または「所定労働時間」を定めた場合において、対象労働者の遅刻、早退または欠勤等により、実労働時間が所定労働時間に満たなかった場合、使用者は、就業規則等に基づいて不就労時間に応じた賃金の減額(いわゆる欠勤控除)を行うことが許されるか。
3 使用者は、高度プロフェッショナル制度の対象労働者の所定始業時刻、所定終業時刻及び休憩時間または所定労働時間について定めるにつき、労基法上、何らかの制約を受けるか。たとえば、使用者が「始業時刻 午前九時、終業時刻 午前二時、休憩時間 なし」と定めた場合や、「一日の所定労働時間は十七時間とする」「一か月の所定労働時間は二百八十時間」と定めた場合、労基法違反となるか。
四 労使委員会決議の有効期間について
1 新設される労基法第四十一条の二第一項柱書においては、高度プロフェッショナル制度の適用に関して、使用者が、委員会(以下「労使委員会」という。)の決議を行政官庁に届け出ることとされているが、かかる決議の届出が行われなかった場合には、対象労働者についても、「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定」が適用されるのか。
2 労使委員会の決議の有効期間については法律上制限があるのか。すなわち、一定期間ごとに決議を行って、届出を行うことが必要なのか否か。
五 労働基準監督署による指導等について
1 新設される労基法第四十一条の二第二項では、労使委員会決議の届出をした使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項第四号から第六号の措置の実施状況を行政官庁に報告しなければならないとされているが、かかる報告(以下単に「報告」という。)は、どの程度の頻度で行わせるのか。例えば一年おきに報告させるのか、三年おきに報告させるのか。
2 報告を受けた行政官庁(労働基準監督署)は、(1)当該報告の真実性について疑問を持った場合、(2)使用者が第一項第四号から第六号までに規定する措置をとっていないと判断した場合、具体的にどのような措置をとることができるか。
3 使用者の報告の内容は、改正後の労基法第百六条においても、「周知」の対象とされていないが、これはなぜか。また、対象労働者は、使用者が行政官庁に対していかなる「報告」を行ったのか、知ることができるのか。できるとすればどのように知ることができるのか。
右質問する。

立憲民主党「人間らしい質の高い働き方を実現するための法律案」(労働基準法等改正案)を衆院に提出しました。

5月8日、立憲民主党「人間らしい質の高い働き方を実現するための法律案」(労働基準法等改正案)を提出者の一人として衆院に提出しました。

議員提出法案の提出者は、「子どもの生活底上げ法案」に続き、2本目となりました。

衆院 事務総長に法案を提出

記者会見

同一労働同一賃金に関する質問主意書と答弁書

同一労働同一賃金に関する質問主意書(2018年4月10日提出)と答弁書(2018年4月20日受領)を掲載します。(事務所投稿)

同一労働同一賃金に関する質問主意書

平成三十年四月十日提出
質問第二二一号

同一労働同一賃金に関する質問主意書

提出者  尾辻かな子
同一労働同一賃金に関する質問主意書

一 同一労働同一賃金の原則・同一価値労働同一賃金の原則
1 二〇一六年(平成二十八年)三月二十三日の厚生労働省の第一回「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」に厚労省から提出された資料三のなかに、「同一労働同一賃金に関する現行制度」のなかの、均等待遇に関する規定として「パートタイム労働法第九条」、均衡待遇に関する規定として「パートタイム労働法第八条」と「労働契約法第二十条」が挙げられているが、これらの規定が「同一労働同一賃金」に関するものであるという認識は厚労省だけでなく、政府の認識でもあるのか。
2 二〇一七年(平成二十九年)九月十五日答申の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の「第七」は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」をパートタイム労働法の改正法として成立させるとし、短時間労働者と有期雇用労働者の双方について、従前のパートタイム労働法第九条と同様の規定とパートタイム労働法第八条及び労働契約法第二十条と同様の規定を設けるとしているが、これら新たに新設する規定について、同一労働同一賃金に関する規定であると考えているのか。
3 労働契約法第二十条に関する判決が相次いでいるが、日本郵便事件東京地裁判決(平成二十九年九月十四日労判一一六四号五頁)などは、労契法第二十条は同一労働同一賃金に関する定めではないとしている。そのような司法判断の理由について、政府は承知しているか。司法判断においては、「業務」のほか、「業務に伴う責任の程度」(業務及び業務に伴う責任の程度をあわせて「職務の内容」としている)、「職務の内容及び配置の変更の範囲」、「その他の事情」を考慮する以上、業務だけで同一労働かどうかを判断するわけではないから、労契法第二十条は同一労働同一賃金を定めたものではないとしていることを承知しているか。
4 同一労働同一賃金は、同一の労働(業務)をしていれば、同一の賃金とすべきであるという考え方であると考えるが、政府はどのような見解なのか。
5 本来はILO(国際労働機関)の原則であり、また、日本でも一九四六年の労働基準法草案段階で一度は取り上げられた「同一価値労働同一報酬〔賃金〕の原則」を実現すべきではないか。
同一価値労働同一報酬の原則は、業務が同一であっても異なっていても、同一の価値の労働には同一の報酬が得られるという考え方であると考えるが、政府はどのように考えるか。
また、同一労働同一賃金は、同一価値労働同一報酬の原則のうち、労働(業務)が同一の場合をいうと考えるが、政府はどう考えるか。
6 労契法第二十条を承継する新法の条文について、司法はやはり同一労働同一賃金に関する定めではないと判断する可能性があるが、政府は、それでも、新しい法律は同一労働同一賃金を定めたと考えるのか。
予想される司法判断を回避するためには、すなわち司法にこれは同一労働同一賃金の定めであると判断させるには、「業務」をもって、あるいは「業務及びこれに伴う責任の程度」をもって、「同一労働」かどうかを判断するという基準を明確に打ち出すべきではないかと考えるが、政府はそのようには考えないのか。そのように考えないでも「同一労働同一賃金」に関する法律であると考える根拠はなにか。
二 法案要綱について
1 法案要綱には、不合理な待遇の禁止の条項と差別的取扱いの禁止の条項があるが、通常の労働者と「職務の内容」が同一で、「職務の内容及び配置の変更の範囲」が同一の「短時間・有期雇用労働者」とを差別してはならないとする差別的取扱禁止条項をもって、同一労働同一賃金の原則を具体化したものと考えているのか。
2 「職務の内容」ないし「職務の内容及び配置の変更の範囲」が異なっても、職務の価値が同一の場合がありうると考えるが、そのような場合に「差別的取扱禁止規定」の効力が及ぶのか。及ぶかどうかが明確でないとすれば、明確に及ぶとする旨を明記する文言にすべきではないか。
3 職務(の価値)が同一か異なるかを評価するために、現行のパートタイム労働法の適用に関連し、厚労省は「職務分析・職務評価実施マニュアル」を公表しているが、短時間労働者のほか有期雇用労働者についても差別的取扱禁止規定を定める新法のもとで、有期雇用労働者についても職務の価値を評価する上記同様のマニュアルを策定する考えはあるのか。
4 職務評価については、厚労省の前記マニュアルのほか、ILOが「同一価値労働・同一報酬のためのガイドブック」を公表しているが、パートタイム労働者のほか有期雇用労働者についても明確に差別的取扱禁止規定を設けるにあたり、ILOの基準を採用すべきと考えるが、これについて政府はどう考えるか。
5 「職務の内容」が同一の場合、同一賃金でなければならないとすると、「通常の労働者」と「短時間労働者・有期雇用労働者」の職務を異なるものとすることによって(職務分離)、異なる労働条件であっても適法とする動きがあることが指摘されている。こうした場合であっても、つまり職務の内容が異なる場合であっても職務の価値を評価することによって、同一価値労働同一賃金の考え方を貫く必要があると考えるが、政府はどう考えるのか。
6 短時間労働者・有期雇用労働者を無期契約労働者(正社員)とし、職務や賃金等の労働条件はそのままであるとすると、同じ正社員であっても従前の正社員とは職務が同じであるにもかかわらず、正社員相互間で賃金等の待遇に格差が生ずるという事態が生じうるが、同一労働同一賃金の考え方は、このような正社員相互間にも適用されるべきであると考える。政府は、このようなケースについては、新法あるいはその他の法令でどのように対処できると考えているか。
このようなケースについても、同一価値労働同一賃金の原則を適用すべきであると考えるが、そのためには職務評価の手法を広範囲に適用していく必要があると考えるが政府はどのように取り組んでいくのか。
三 具体的な適用について
1 差別的取扱いの禁止規定は、「職務の内容」と「職務の内容及び配置の変更の範囲」が通常の労働者(正社員)と同じである場合に適用されることになるが、「職務の内容」の同一性については前記のとおり「職務の評価」を通じて「職務の価値」を比較すべきであると考えるが、どのような職務評価の手法を採用すべきかについて、検討する考えはあるか。
2 「職務の内容及び配置の変更の範囲」が同一かどうかについては、日本郵便事件大阪地裁判決が、「労契法二十条は、不合理性の判断における考慮要素の一つとして「職務の内容及び配置の変更の範囲」を挙げているところ、職務の内容や配置の変更があり得る労働者の労働条件については、必ずしも現在従事している職務のみに基づいて設定されているのではなく、雇用関係が長期間継続することを前提として、将来従事する可能性があるであろう様々な職務や地位の内容等を踏まえて設定されている場合が多いと考えられるから、そのような場合に、単に現在従事している職務のみに基づいて比較対象者を限定することは妥当でなく、労働者が従事し得る部署や職務等の範囲が共通する一定の職員群を比較対照しなければならない」とし、「将来従事する可能性があるであろう様々な職務や地位の内容等」をも考慮するとしている。「将来の可能性」が考慮されると、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は異なると判断され、ひいてはそれ故、労働条件の相違は「差別的取扱い」にあたらないとされる可能性がある。「職務の内容及び配置の変更の範囲」が同一か異なるかについて、必ずしも明確な基準がないように思うが、政府としてはこの点、どのように考えているか。
3 不合理な待遇の禁止規定では、「その他の事情」が考慮されるとなっているが、労使交渉の経過や定年後の継続雇用においては賃金額が減額されるのが一般的であることなどが、考慮されるとする裁判例もある(長澤運輸事件控訴審判決)。その他の事情として考慮される事情を広げすぎると、結局不合理な待遇の禁止が禁止でなくなる可能性がある。他方、「職務の内容」及び「職務の内容及び配置の変更の範囲」という明確な基準こそが重要であり、「その他の事情」とは前二者に準ずるような事情に限定されるべきであり、そうでないと結局不合理な待遇であると認められる範囲は狭くなってしまうという批判がある。この点、政府は「その他の事情」を広く考えているのか、限定的に考えているのか。
四 違反の効果について
1 差別的取扱いの禁止規定に違反した場合、短時間労働者及び有期雇用労働者の労働条件は通常の労働者(正社員)のそれと同じになるという効果(補充的効力)を持たせるのか。仮に補充的効力がなく、強行的効力のみ認めるとすると、短時間労働者や有期雇用労働者が訴訟を提起しても不法行為に基づく損害賠償請求のみが認められ、同請求権の消滅時効の期間満了前に新たに訴訟をしなければならないことになるが、差別的取扱いを受けている短時間労働者や有期雇用労働者に訴訟を強いる結果になるのは相当とはいえないのではないか。差別的取扱いの禁止規定に違反した場合には、明文で補充的効力を付与すべきではないか。
2 不合理な待遇の禁止規定に違反した場合も、差別的取扱いの禁止規定に違反した場合と同様の問題がある。これについてどのように考えるか。
五 派遣労働者についての同一労働同一賃金
1 法案要綱第五の二は、労働者派遣法を一部改正し、派遣労働者と派遣先の通常の労働者との間の不合理な相違を設けてはならないなどとしているが、短時間労働者・有期雇用労働者のような明確な差別的取扱禁止規定がない。その理由はなにか。
2 法案要綱第五の二の3は、過半数代表の労働者・労働組合との協定により、不合理な相違禁止規定等は適用しないとしているが、短時間労働者や有期雇用労働者にはこのような定めがなく、派遣労働者に限ってこのような定めを置くのはなぜか。
3 派遣労働者について、不合理な相違禁止規定に違反した場合の法的効果がどうなるのか明確にするのか。

右質問する

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衆議院議員尾辻かな子君提出同一労働同一賃金に関する質問に対する答弁書

平成三十年四月二十日受領
答弁第二二一号

内閣衆質一九六第二二一号
平成三十年四月二十日

内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 菅 義偉

衆議院議長 大島理森 殿

    • 衆議院議員尾辻かな子君提出同一労働同一賃金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員尾辻かな子君提出同一労働同一賃金に関する質問に対する答弁書

一の1、2、4及び6並びに二の1について

    •  同一労働同一賃金については、「働き方改革実行計画」(平成二十九年三月二十八日働き方改革実現会議決定)において、「仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの」としているところである。
    •  このため、政府としては、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第八条及び第九条の規定並びに労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第二十条の規定並びに現在国会に提出している働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(以下「法律案」という。)による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「短時間・有期雇用労働法」という。)第八条及び第九条の規定は、同一労働同一賃金に関する規定であると考えている。

一の3について

    •  御指摘の東京地方裁判所平成二十九年九月十四日の判決は、「労契法二十条の判断において、職務内容は判断要素の一つにすぎないことからすると、同条は、同一労働同一賃金の考え方を採用したものではな」いと判示しているものと承知している。なお、労働契約法第二十条についての政府の考え方は、一の1、2、4及び6並びに二の1についてでお答えしたとおりである。

一の5について

    •  御指摘の「ILO(国際労働機関)の原則」の意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。また、「一九四六年の労働基準法草案段階で一度は取り上げられた「同一価値労働同一報酬〔賃金〕の原則」」は、男女同一賃金の原則を指すものと思われ、他方、同一労働同一賃金は、一の1、2、4及び6並びに二の1についてでお答えしたとおり、「いわゆる正規雇用労働者・・・と非正規雇用労働者・・・の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの」である。

二の2について

    •  短時間・有期雇用労働法第九条の規定は、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(短時間・有期雇用労働法第二条第三項に規定する短時間・有期雇用労働者をいう。以下同じ。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについて、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、待遇のそれぞれについて、差別的取扱いを禁止するものである。

二の3について

    •  お尋ねの「職務分析・職務評価実施マニュアル」については、短時間労働者及び通常の労働者の職務の内容を明確にし、当該職務の内容が異なるか否か及び異なる場合にどのように異なるかを明確にするためのものであるが、短時間・有期雇用労働法の内容を踏まえ、必要な見直しを行うこととしている。

二の4について

    •  お尋ねの「ILOの基準」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

二の5について

    •  お尋ねの「職務の価値を評価することによって、同一価値労働同一賃金の考え方を貫く」の意味するところが明らかではないが、短時間・有期雇用労働法第八条の規定においては、短時間・有期雇用労働者の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けることを禁止している。

二の6について

    •  同一労働同一賃金は、一の1、2、4及び6並びに二の1についてでお答えしたとおり、「いわゆる正規雇用労働者・・・と非正規雇用労働者・・・の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの」であり、短時間・有期雇用労働法は、いわゆる正規雇用労働者間の待遇差を対象とするものではない。
    •  また、御指摘の「同一価値労働同一賃金の原則」の意味するところが明らかではなく、「政府はどのように取り組んでいくのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。

三の1について

    •  御指摘の「「職務の内容」の同一性については前記のとおり「職務の評価」を通じて「職務の価値」を比較すべきである」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

三の2について

    •  短時間・有期雇用労働法第九条の「職務の内容及び配置の変更の範囲」の解釈については、今後、通達等により示してまいりたい。

三の3について

    •  短時間・有期雇用労働法第八条の「その他の事情」の解釈については、同一労働同一賃金に関する法整備について(建議)(平成二十九年六月十六日労働政策審議会建議。以下「建議」という。)において「「その他の事情」の中から、新たに「職務の成果」「能力」「経験」を例示として明記することが適当である。また、労使交渉の経緯等が個別事案の事情に応じて含まれうることを明確化するなど、「その他の事情」の範囲が逆に狭く解されることのないよう留意が必要である」とされていること等を踏まえ、今後、通達等により示してまいりたい。

四について

    •  短時間・有期雇用労働法第八条及び第九条の規定に違反した場合の当該短時間・有期雇用労働者の待遇については、裁判所において個別具体的な事案に即して判断されること等により決まることとなる。当該判断においては、当該短時間・有期雇用労働者の職務の成果、能力又は経験その他の事情を勘案すべき場合もあり得ることから、一律に、同一の事業主に雇用される通常の労働者と同一の待遇が認められるものと規定することは困難であると考えている。

五の1について

    •  派遣労働者に関しては、労働政策審議会が昨年九月十五日に答申した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(以下「要綱」という。)第五の二の2において、「派遣元事業主は、職務の内容が派遣先に雇用される通常の労働者と同一の派遣労働者であって、当該労働者派遣契約及び当該派遣先における慣行その他の事情からみて、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該派遣先との雇用関係が終了するまでの全期間における当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならないものとすること」とされているところである。これは、派遣元事業主(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第二条第四号に規定する派遣元事業主をいう。)は、派遣先(労働者派遣法第二条第四号に規定する派遣先をいう。)に雇用される通常の労働者の待遇を決定する立場にないため、「差別的取扱い」という文言を用いなかったことによるものであるが、要綱第五の二の2の内容は、要綱第七の五と同様の趣旨であると考えている。

五の2について

    •  建議において、「一般に賃金水準は大企業であるほど高く、小規模の企業になるほど低い傾向にあるが、必ずしも派遣労働者が担う職務の難易度は、同種の業務であっても、大企業ほど高度で小規模の企業ほど容易とは必ずしも言えない。このため、派遣労働者の希望が大企業へ集中し、派遣元事業主において派遣労働者のキャリア形成を考慮した派遣先への配置を行っていくことが困難となる(中略)など、結果として、派遣労働者の段階的・体系的なキャリアアップ支援と不整合な事態を招くこともあり得る」とされ、また、「こうした状況を踏まえ、・・・派遣先の労働者との均等・均衡による待遇改善か、・・・労使協定による一定水準を満たす待遇決定による待遇改善かの選択制とすることが適当である」とされており、要綱第五の二の3はこれを踏まえたものである。

 

    •  現在国会に提出している法律案による改正後の労働者派遣法第三十条の三第一項の規定に違反した場合の当該派遣労働者の待遇については、裁判所において個別具体的な事案に即して判断されること等により決まることとなる。