昨日、消費者特別委員会が開かれ、消費者契約法の一部を改正する法案が与野党修正案を全会一致で採決し、附帯決議と共に採決されました。
5月21日の委員会質疑が異例の途中散会となった理由を書いておきたいと思います。
今回の消費者契約法の一部を改正する法案は、あらたな困惑型の2類型に取消権を与えることになりました。
この困惑型の取り消しを認める2類型に、専門調査会、消費者委員会でも議論になかった「社会生活上の経験が乏しいことから」という文言が条文に入ったことが大きな論点になりました。
今回の消費者契約法は、民法改正とも連動し、成人年齢が18歳になれば、未成年に与えられていた未成年取消権がなくなってしまいます。若年者をどう守るのか。
それと同時に増え続ける高齢者の被害をいかに防ぐのか。
「社会生活上の経験が乏しいことから」が入ってしまったがために、年齢的な要素が強くなり、中高年のデート商法、就職セミナーなどは対象から外れてしまう事態になるのではないかということです。
本会議答弁では、
「社会生活上の経験が乏しいとは、社会生活上の経験の積み重ねが、 契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことを 意味するものでございます。 総じて経験の積み重ねが少ない若年者は、本要件に該当する場合が 多くなりますけれども、 高齢者であっても、契約の目的となるものや勧誘の態様との関係で、 本要件に該当する場合があります。 例えば、霊感商法のように、勧誘の態様に特殊性があり、 積み重ねてきた社会生活上の経験による対応が困難な事案では、 高齢者でも本要件に該当し、救済され得るものでございます。」
と答弁し、高齢者であっても「契約の目的となるもの、勧誘の態様との関係」で該当する場合があるとしていたものが、
委員会答弁では
「就労経験等がなく、自宅にひきこもり、他者との交流がほとんどないなど 社会生活上の経験が乏しいと認められる者につきましては、 年齢に関わらず本要件に該当する」
引きこもり等に限定され、本会議答弁の「契約の目的となるもの、勧誘の態様との関係」が消えてしまいました。
それがペーパーになったのが、写真2の黒岩委員に渡されたもとむら議員への
本会議の答弁修正についてというものです。
5月11日 本会議
(高齢者であっても、契約の目的となるものや勧誘の態様との関係で、 本要件に該当する)
5月15日 委員会 参考人質疑
5月17日 委員会質疑 (引きこもり等のみに変更)
5月21日 委員会質疑 黒岩委員によるペーパー指摘(写真2番目)委員会途中散会
閣法で出された法律が、審議の途中で解釈を変更するということがあっていいのか、
私には理解ができません。
消費者庁は、昨日の委員会質疑でペーパーと代表質問答弁の変更依頼は撤回されましたが、この間の経緯については猛省を促したいと思います。